千歳鶴の杜氏

Toji

「千歳鶴」の
舵を取る杜氏、
市澤智子に
聞いた酒づくりの想い。

千歳鶴 六代目杜氏、市澤 智子。
明治五年の創業以来初めての女性杜氏。
短期大学の醸造学科を卒業し微生物の世界に魅せられ、地元釧路の地ビール会社、酒蔵で杜氏を歴任し千歳鶴へ。

杜氏は人をつくるのも仕事

酒造りは一人でいくら頑張ったところでいいものはできません。一人一人が100%の力を発揮したとき、チーム全体では120%の力となり、いい酒が出来る。個々の能力を最大限に引き出すのも杜氏の仕事。人には向き不向きや適材適所が必ずあり、各々がやりやすい環境を作ること、いかに作業に対して執着を持って仕事をしてもらうかが非常に大事。昔から言われていた「杜氏は人をつくるのも仕事」まさにその通りです。

世の中が求めている酒

味は感覚的なものなので、自分で感じなければわかりません。必要とされる酒を勉強する時に大事なのが”妄想”。この米でこの香り、そしたらあの酵母でこの仕込配合だろうか…?感じた刺激を自分の酒造りに生かし、設計を行います。世の中が求めている酒と千歳鶴の方向性を考えながらのこの作業がモノづくりの醍醐味であり、結局のところ私は酒造りが大好きなんだと、つくづく思います。

地酒とはなんなのか

昔は、時期になると地方から杜氏がやってきて、造り終わると帰っていくものでした。私は造り手が造ったお酒をどのように貯蔵し、どのタイミングで出荷するかそこまでを見届けて初めて本当の意味で造ったと言えると思っています。酒造りは新しい時代に突入し、日本酒とは何か、地酒とは何なのかという本当の意味が問われてきているのではないでしょうか。地酒とは地元の造り手が地元の米や水で醸造したものを地元の方々に味わって頂く。それこそが本当の意味での地酒だと思っています。